自然災害の多い日本では、特に構造物をどこにどのように造るかはその地形や地盤の影響を配慮しなければなりません。そこで、「群馬の地盤」のスペシャリストとして、地形、地質、地盤の工学的性質等の調査解析を行って、安心な構造物を造るための地盤情報を提供します。
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地盤調査は一般的に、現地で行うボーリングや各種試験、現地で採取した試料を用いて行う室内土質試験等を基に、対象地盤の強度特性等の情報を提供します。前橋台地を構成する前橋泥流堆積物は弱固結した自立する地盤ですが、N値が低いため液状化すると言われてきました。そこで台地上から深度5.5mのテストピット(写真)でブロックサンプリングして液状化試験を行い解析した結果、「液状化しない」と判定されました。
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平野部で軟弱地盤の分布する沖積低地の微地形は、構造物の支持力、圧密沈下、液状化の危険性などを解析する上で重要な地形情報です。問題の多い沖積低地と問題の少ない洪積台地・扇状地など、微地形を判読することが重要となります。このため、前橋・高崎から県東部にかけての微地形区分図を作成しました。
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地すべり現象は地下水の流れが重要です。上図の断面では、流れ盤構造の泥岩の風化部と新鮮部の境界をすべり面とする地すべりにおいて、風化泥岩内と表層の崩積土内の2種類の地下水が存在します。地すべり対策は、2種類の地下水を各々排除することを目的として、集水井において深さの異なる2段の集水ボーリングを設計しました。この対策で地すべりの安定を確保しました。
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群馬県でも西埼玉地震により利根川や烏川沿いの沖積低地で液状化しました。この液状化地点を微地形区分図に重ね合わせて示しました。この図でNo.3とNo.4地点は前橋台地上に位置しますが、この台地の表層2~3mの軟弱層内に遺跡調査で噴砂が確認されていることもあり、この軟弱層が液状化したものと考えられます。
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急斜面や高低差のある山地や丘陵地では、橋梁や道路盛土、切土をどのように設計して道路を安全に経済的に造るかが課題となります。上記の図面では、凹地形の急斜面を横断する道路改良で、橋梁と道路盛土の比較検討を行い、約40mの高盛土が採用されました。斜面上に不安定な崩積土が厚く堆積しているため、この崩積土を排土し補強盛土と補強土壁からなる複合盛土構造物の安定解析をして、構造物の規模を決定しました。
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土木設計や建築関係の方に地盤調査について研修を行っています。上記写真の研修会では、まず室内で標準貫入試験の方法と試験で得られたN値の利用について、また利用上の問題点を説明しました。この後、実際にボーリング機械を使って標準貫入試験を体験して、N値がどのように求められるのかを研修しました。写真は標準貫入試験装置を説明しているところです。